1話:ひさしぶり、そして、はじめまして

 

 なんだかひさしぶりに歩くこの道。
 そして、なんか懐かしい・・・。
 そう、何年ぶりだろうか、ここへくるのは。

 あ、まだ名乗っていなかったね。
 俺はリンク。普段は、ハイラルという国を中心に、いろいろ旅をしているんだ。
 ちょっと前まではそのハイラルで大きな戦いがあった。その戦いに見事、勝利したのだが、その後俺は 元の時代に戻り、あちこち旅をしながら、いつの間にかその戦いの時の年齢に達していた。
 そう、それは俺のいる世界での話・・・。
 でも、ここの世界では、そんなことは思い出話のレベルになる。
 ここではもっとすごい人達がいるのだから。

 数年前にもこの世界に来た事がある。自分を強くするためにここへ来たのだが、あの時は本来の目的を 忘れるくらい、笑いとハプニングの連続の日々に見舞われていた。
 そして、今回も、そんな予感に俺の心は弾む。

 たどり着いた場所は・・・スマッシュブラザーズ総合荘・・・略して、「スマブラ荘」

 数日前、俺のところにこんなものが来た。
 手紙と、地図とカード。手紙には『●日にここへ来い。そのときに同封してあるカードを忘れずに持ってくるように』 とあった。地図には大雑把な図で、目的地に×印がある。カードは灰色のグラデーションで、丸にクロスしたような 形のマークがあった。カードはともかく、地図の場所には覚えがあった。それで、また始まるのかと思う気持ちが ふくらみ、その日にその場所へ直行したのだった。

 到着すると、前より大きくなった感じの荘があった。
 久しぶりにそのドアをたたき、中へ入ろうとするが、カギがかかって開かない。
 鍵穴はなく、そのかわり、カードを入れるところがあった。
 もしかしてと思い、もって来るように言われたカードを通す。カギは・・・開いた。
 さっそく中へ入る。すると、もう騒がしかった。
「あ、リンク、おっせーぞ!」
「また遅くなったのか?」
「ひっさしぶりー!」
「ピッピカー!」
 懐かしい面々がそろっている。
 マリオさんに、ファルコンさん、サムスさんにピカチュウ。最初に声をかけてきたのは彼らだ。
「久しぶりだな、元気にしてたか?」
 あ、フォックス。以前は歳が近いせいか、けっこう仲良くしていた。
「りんくくん、おひさ〜。」
 カービィ、あいかわらず、のんびりしてるな。
「また会えるとは思ってなかったよ〜、またみんなと過ごせるね。」
 ネス、俺もだよ。まさか、またこんな時が来るなんて。
「そうだ、実は他にも新しい人達が来てるんだ。」
「向こうにいるから、挨拶してきたらどうです?」
 ドンキー、それにヨッシー。新しい人達って?
「多分、リンクも知っている人、いるんじゃないかな?」
 ?誰だろう。会ってみようかな。

 リビングに足を踏み入れると、見慣れない人たちがいる。・・・1人を除いて。
「あら!リンクじゃありませんか!」
 いきなり俺を呼ぶのは・・・、ゼルダ姫だった。
 俺と一緒にハイラルのために戦った、ハイラルの王女だ。彼女は魔法が得意で、変身の術も使えるんだ。 ・・・ただ、ちょっとボーっとしたところがあるけど。
 他の人たちは知らない顔だった。ゼルダ姫と歳が近そうな女の人と、ネスと同年代と思われる、ペアルック でいる男の子と女の子、そして、威圧感抜群のカメ・・と思われる人(?)が座っていた。
「あら、あなたもここの仲間なの?」
 女の人が声をかけてくる。そうですが、あなたは?俺はリンク。
「あ、自己紹介がまだだったわね。私はピーチ。キノコ王国の王女よ。ここのマリオとは・・・長い付き合いに なるわ。よろしくね。」
「ぼくはポポ。登山が趣味なんだ。よろしく〜。」
「あたしはナナ。ポポのパートナーよ。よろしくね。」
「・・・・・・。」
「こら!クッパも挨拶しなさい!」
 クッパとかいうカメ(?)は、ピーチ姫に促されながら、喋りだす。
「クッパだ。・・・これでいいか?」
 無愛想だな。もとからこうなの?
「まさか!普段はいつもノリがいいのよ。」
「そうそう、こいつ、けっこうカッコつけたがりなんだけど、どこかマヌケなんだよな。」
「なっ!!余計なこと言うな!!」
 クッパ、マリオに何かいわれて、慌てている。けっこうかわいいところあるじゃん。このままでいいと思うよ。
「ぐわぁっ!!マリオ〜〜、貴様、後で覚えてろ〜〜。」
 ・・・仲いいんですね。マリオさんとクッパさん。
「そうなんだよ。本人たちは否定してるけど。」
「あれだけ付き合い長いと、こうなるんですよねぇ。」
 ドンキーにヨッシー。キミたちも彼らと面識があるのか?
「当然!いつも遊んでもらってるんだ。」
 ・・・そうなんだ。・・・あれ?これで全員?
「さあ?手紙には、ここへ来ることは誰にも教えるな、とあったから、正確な人数はわからないな。」
 ファルコンさんが俺の質問に答える。そうか、だからゼルダ姫がここへ来ることも俺は知らなかったんだ。
「上にみんなの分の部屋があるけど、かなりの部屋数があったわよ。以前より増築されていたし。3階建て になってるわね。」
 と、サムスさん。と、いうことは、まだ来るのかな・・?そういえば、部屋はどうしたの?
「みんな適当なところとったよ。僕は前と同じところにしたけど。」
 今度はネスが。ふうん、じゃあ、俺も荷物を置いてくる。

 2階に上がり、俺は前に使っていたところと同じ部屋をとる。
 よく見たら、たいていの人たちが、前と同じところとってる。前と場所変えたといっていたのは、 ピカチュウとドンキーにヨッシー、サムスさんの4人のようだ。彼らは3階に行ったらしい。そのかわり、 元はサムスさんがいたところには、クッパさんが使うことにしたようだ。
 俺はやっぱり前のところが1番いいなと思った。
 部屋を出ると、ふと隣の空き部屋に目が移る。
 そういえば、前にはあと2人ほどここにいたのだが、今回は顔を見ていない。
 その空き部屋は、その2人のうちの1人が使っていた部屋だ。
 ・・・そうか、何か足りないと思っていたら、あの人たちがいないんだ。今回は来ないのかなぁ・・?

「さ、だいたい集まったし、再会&初対面パーティを始めるか!」
「いいの?他にも来るかもしれないよ?」
 パーティを仕切ろうとするマリオさんに、ドンキーが疑問に思ったようだ。
「それだったら、ここに伝言板があったけど、何人かが今日ここへくる事ができないみたいだよ。」
 フォックスが伝言板の方を指差して言う。
(じゃあ、いつ来るの?)
 ピカチュウ。そうだ、いつもはピカピカしか聞こえないが、俺たちにはなぜか彼の言いたいことはわかってしまう。
「わからない。だけど、近いうちに来ると思うな。」
 うーん・・・、まあ、今は気にしなくていいということかな?
「それじゃ、始めるか!」
「さーて、飲むぞぉ!!」
 早ッッ!!マリオさんとファルコンさん、もうビン開けてる!以前もこんなノリだったような・・・。
 あ、そうだ、料理はどうしたの?
「大丈夫、料理店から注文して届けてもらったわ。」
 ゼルダ姫はともかくとしても、ピーチ姫、あなたは料理はできるのですか?
「ともかくってなんですか!!」
「私はお菓子なら得意よ。他はちょっと・・・ね。」
 わめくゼルダ姫を無視して、ピーチ姫は少ししどろもどろになりながら言う。
「それで?あなたたちの中に料理する人はいるの?」
 ・・・残念ですが、ここにはいないです・・・。
「ふーん、これじゃ、当分はテイクアウトね。」
 ピーチ姫は残念そうに言う。・・・あの人がここにいればよかったのですが・・・。


 パーティはすっかり盛り上がりを見せていた。
 マリオさん達はあいかわらず、無礼講ということで飲みまくっているし・・・。以前はこれで大乱闘に なったっけ。今回はクッパさんまで仲間に入ってるし。ピーチ姫が追加でどんどん持ってくる。
 他にも、ネスとカービィは、早くもポポとナナの2人と意気投合しているようだ。同じくらいの歳の仲間が 増えて、よほど嬉しいのだろう。ドンキーたち動物メンツはゼルダ姫と何か話しているみたい。こっちは 自然で、見ていてほほえましく思う。
「今回は、あんな目にあってたまるか。」
 フォックスはマリオさん達の方を見て、こうつぶやいている。以前はひどい目にあったからなぁ。
 大丈夫、今回こそは。
 しかし、俺のその期待はすぐにぶち壊される。

「おう、リンク、フォックス。おめぇらも飲め、飲め!」
 あああああああああああああ!
 過去の悪夢がぁ!!あんたたち、明らかに酔ってるよ!
 ダメです!今回は絶対にダメです!未成年の飲酒は禁止なんです!
 ・・って、フォックスー!アンタ、飲まされかけてるぜ!
「細かいことグダグダ言ってんじゃねぇよ。うっとおしい。」
 あああああああああああああ、ファルコンさん、怒り上戸だよ〜。
「そうそう、気にしてたら始まらないわよ〜、きゃははははははははは。」
 サムスさん、笑い上戸。ファルコンさん締めてます。
 クッパさんは酔いつぶれて寝てるし!
「う・・・ううう・・・。」
 ああもう、どこかからうめき声がするし・・・。うめき声!?
「うう・・・もう、俺、辛い・・・・・。」
 フォックース!!アンタ、やられたかーーーーーー!!
 もう嫌!過去の悪夢、再来!!
 ・・・おや、よく見ると、ビンのラベルは・・・レモンジュース?全部。
 と、いうことは・・、ジュースで酔った?
 ジュースというのなら、俺でも飲めるな・・・。


ごく。

 ・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・。
 なんか気分悪くなってきた・・・・。
「あー、これ、アルコールはないんだけど、なんか歩くキノコの作用があるみたいで、お酒を飲んだような気分に なるジュースなんだって。」
 なんかピーチ姫の声が聞こえる気がする。
「あー、みんな、キノコがはえてるー、いいなー。」
 ネスにポポ。うらやましがらないでくれ。
「あんまり騒ぐんじゃねぇ。うるさいんだよ、本当に。」
 マリオさん、愚痴ってないで下さい。
「でも、おもしろそうですね、私たちも飲みます?」
 ゼルダ姫、何を能天気に・・・。
 ・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・。
 誰もまとめる人がいないじゃないか・・・・。


 こんなんでこの先やってられっかーーーーーーー!!

 もう、俺の意識は完全にどこかへふっ飛んだ。

「あー、大乱闘だ!僕たちもまぜてよー!」
「子供差別はずるいよー!」
「・・・そう言いながら、どんどん入っていかないで下さい。」
「でも、これってこのあとまずいんじゃないかな・・・。」
「ドンキー、ヨッシー、あなたたちは冷静ですね・・・。」
『あなたもね、ゼルダ姫。』


 ・・・・・。
 ・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・。
 う、うん・・・、頭痛い・・・。
 はっとして、俺は飛び起き、周りを見渡した。
 なんと、部屋中がひどい有り様で、リビングのソファはひっくり返ってるわ、テーブルは足が折れているわ、 壁には傷ができてるわの大惨事となっていた。
 ・・・俺、一体なにやったんだろう・・・・。
 よく見ると、全員ぐったりと眠りこけている。全員で暴れたのだろうか。
 とにかく、全員を起こす。
「な・・・何があったの?一体。」
 それは俺が聞きたい。
(リンクがキレて、その勢いに乗ってみんなも暴れ出した。)
 は?俺が原因?
「仕方ないから、私たちで何とか止めようとしたけど、手におえなかった。」
 ヨッシー、キミたちは正気だったんだね・・・。
「それでボクがみんなを1発ずつ張り倒して、気を静めた。」
 ドンキー、お手数かけました・・・・。
「ねぇ、リンク、マリオとファルコンとサムスとクッパとフォックスが起きないのですが。」
 外に出しておいてください!!
「リンク〜、それじゃ数年前の二の舞だよ〜。」
 そういうドンキーも前みたいに本当に外へ出すなよ。
「さあさ、掃除掃除、あんなんじゃとてもじゃないけど、生活できないわ。」
『ええ〜〜〜〜。』
「文句は言えませんよ、あなたたちがやったんですから。」
 ピーチ姫のひとことに、覚醒したみんなは不満をあらわす。
 ・・・またこんなことからスタートか・・・。先が思いやられるなぁ・・・。

『あんたが原因じゃないか!!』



おまけ。

マリオ「なあ、何があったか?」
ファル「しらねぇ、覚えがない。」
サムス「何で私たち、外にいるのかしら。」
クッパ「ワガハイは寝てただけだぞ。」
FOX「みんな、前にもこんなこと、ありませんでした?」

                                                             終わり。

やってしまいました。こんな悪ノリの産物。一応表現は自重したつもりです。本来はもっとえらいことに なっていましたから。
ちなみにこの話は、オフラインで発行していた本の続編ということを前提にしているため、前回を知らないと わからないことが多かったと思います。もし、この話の前作を見たいというリクエストがあったら、前作も アップしていきたいなぁと思います(来ないだろ)
また、本編にもあったとおり、まだキャラは全員出ていません。他のキャラは、話を進めるごとに 徐々に出していくつもりです。