11話:私生活でGO!

 

 メンバーが全員そろい、数日が経った。
 しかし、普段はただヒマをつぶす状態が続いていた。
「みんな、ヒマそうだね・・。」
 唯一多忙なルイージがゲームをやっている一同に声をかける。
「だってさ、なんにもすることないんだもん。」
 ネスがだらけた格好で返事をする。
「この世界ではまだ何かあるかつかめてないんだ。いいだろうがよ〜。」
 ソファにもたれかかったまま、ファルコンが言う。
「・・買い物行ってくる。すぐ戻るよ。」
 ルイージは疲れた口調で、リビングを後にした。
 まだメンバーはゲームで盛り上がっていたという・・。

 そして、夜。

「みんな!仕事しよう、仕事!」
 ルイージが一同に大声で言い出した。
 そのひとことは、メンバーの目を白黒させた。
「な、なあ、それってどういう・・?」
「兄さん、どうもこうもないよ。このあたりも前みたいに活気が出始めてるんだよ。」
 マリオのセリフを遮って、ルイージは語りだす。
「それにさ、そろそろお金が足りなくなりそうなんだ。退屈しているんなら、バイトでもしてきてよ。 ・・そういえば、リンクくん、君が前にバイトしていた牧場、経営してたよ。バイト募集中だって。」
「え?ホントですか?」
「あら、私も一緒に行ってもいいですか?」
 リンクが行くと思ったらしく、ゼルダも行く気満々だ。
「ねぇ、じゃあ、私が行ってた警備会社は?」と、サムス。
「もちろん。また行ってみたら?」
「ほかにはないのか?」と、ファルコン。
「自分で探してきなよ。僕だって全部を見てきたわけじゃないから。」
「あ、なら、私のところも再開してるころね。呉服店が。」
「え?ピーチさん、店もってたんですか?」と、フォックス。
「そうよ。知らなかったかしら?・・そういえば、来たときには・・・。」
「姫、頼みますから昔のことを話すのやめていただけませんか?」
 ピーチが話そうとするところをルイージが泣きつく。
「ああ、そうね。あなたがバツ11のママになってたようなこと、あったしね(笑)」
 しかし、泣きつきにもかまわず、ピーチは口を滑らす。
「姫・・それ、誤解を招きます・・。」
「それ以前に『ママ』はなかろうよ・・。」
 ルイージは完全に無気力になり、続いてミュウツーがぽつりとツッコミをいれる。
「ねぇ、仕事っていうけどさぁ、僕ら子供はどうするの?たぶんとってくれないと思うよ。」
 ポポがもっともなことを言う。
「・・僕の妹はしっかりバイトしてたけどね。」
 ネスがぼやく。
「君達は・・実は学校があるようなんだ。でも、学校というよりは塾みたいなものかな?」
「へぇ。勉強するの?」
 子供たちは複雑な表情をする。
「どうせヒマだろ?行ったらどうだい?」
「ねぇねぇ。学校ってどんなとこ?おいしいもの?」
「・・カービィ、人の話、聞いてないね。」
(勉強するとこでしょ?おもしろそうじゃないの。)
「プリン、行くの?」と、ナナ。
(ええ。興味はあるし。ね、ピカ、ピチュー!)
 プリンはピカチュウとピチューの方を向く。
(えぇ!?僕らも行くのかい?)
(ピカ兄、いいじゃん。いってみようよぉ。)
「わかった、じゃ、ネス君にカービィ、ピカにピチューにプリンに、ポポ君とナナ君、それに小さいリンク君 は学校行きだね。」
「え?僕も?」とこどもリンク。
「そりゃそうだろ。おまえの将来の姿が目の前にいるんだから、勉強した方がいいっての。」
「ちょ、ちょっと!どういう意味だよ、ファルコ!」とリンク(大)。
「そのまんまの意味だ。」
「はいはい、ケンカはここまでにして、明日から探してきなよ。今日はもう遅いから。」
 そのままの雰囲気を読み取り、ルイージが区切りをつける。
「なぁルイージ、おまえはどうなんだ?」
「人にやらせておくだけか?」
「答えろ!」
 マリオ、ファルコン、クッパが口々に言い出す。
 ルイージはそのまま、笑顔で答えた。ただし、目は笑っていなかった
「僕に仕事する時間があると思う?」
『・・・ごめんなさい。』
 笑顔の裏を知った3人は、声をそろえて謝ったという・・・。

 で、次の日。

「へぇ、また警備に行くことにしたんだ。」
「ええ。私、腕には自信があるし。特に、夜は。」
 サムスのセリフにルイージは少し引いた。
「あ、ルイージさん、俺とゼルダ姫は牧場に行くことにしました!」
「牧場仕事、実は興味があったんです。」
「そうか、また帰りに牛乳買ってきてもらえるな。」
「子供らは学校に行くとして・・。他のみんなはどうだろう?」
 基本的に、大人らは働きに出るつもりらしい。しかし、気がかりなのは、ドンキー、ヨッシー、ミュウツー、 ゲームウォッチの4名だ。彼らは年齢が微妙だが、少なくとも子供ではない。どうしたものか・・。
「おう!俺らは車をいじることにしたぜ。言っとくが、仕事だからな!」
 後ろから声をかけてきたのは、ファルコンだった。横にはファルコもいる。
「あれ?ファルコ君、フォックス君は?」
「あいつなら、本屋へ行くと言ってた。ペッピーが経営してるってさ。」
「知り合い?」
「ああ。口うるさいおっさんだがな。俺はあんな固いところはまっぴらだからな。」
 ファルコは不機嫌に言い捨てた。
「あ、それから、こいつらも同じところで働く気らしいぞ。」
 ファルコンが指差した先には、ちゃっかりミュウツーとゲームウォッチがいた。
「君らも?意外だなぁ。」
「内職ダケドナ。部品ノちぇっくヲスル。」
「騒がしいのは嫌いだ。」
 ルイージはそれを聞いて納得した。内職なら、静かなところが好きな彼らにはいいのかもしれない。
「ルイージさん、ルイージさん。」
 今度は別の場所から声がかかった。ドンキーとヨッシーだった。
「僕らも在宅ワークです。花を育てるんですよ。」
「その花を買い取ってくれるお店があったんだ。知ってる顔だったから、声かけられたんだ。」
 この2匹は花を育てることにしたようだ。それを花屋に出荷するつもりらしい。
「ねぇ、知ってる顔って・・?」と、サムス。
「ルイージさんによろしく言っといて、と伝言がありました。」
「僕に?」
「うん。デイジーが店長やってるから。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「どうしたの?ルイージ。顔、真っ赤よ。」
「と、とにかく!まだ連絡がない人たちもいるけど・・。」
 そこで、2人の人物が来た。ピーチとガノンドロフだ。
「やっぱり呉服店があったわ。私、ここのオーナーだから。」
『店持ちですか!やはり!』
「俺もだ。実はな。」
「ど、どんな会社なんだ?一体。」
 ファルコンが聞き出す。
「金融会社だ。密かに経営してた。」
『えぇ!?』
「貴様らも借りたらきちんと返せよ!でないと・・・。」
「わ、わかった!わかりましたから!!」
 ガノンドロフの表情がかなり怖い。一同はこう思ったに違いない。
 「絶対に借りるものか・・・。」と。

 だいぶ時間が経った。しかし、残りのメンバーはなかなか戻ってこない。
 フォックスが戻ってきたが、彼はファルコの言ったとおり、本屋で働くことにしたようだ。
 続いて、2人戻ってきた。今度はマルスとロイだった。
「え?コンビニ?」
「うん。この近辺にできてたんだ。バイト募集とあったから、行ってみたら、明日から来てくれって。」
「あ、僕も。じろじろ見られて、そう言ってた。」
 ・・・それってルックスで決まったんじゃ・・・。
 一同は同じことを思ったに違いない。たぶん。
「あとは・・兄さんとクッパだけだな。」
「言ってくれれば、私のところで雇うのに。」
「姫、たぶん兄さんらにも男のプライドがあるんじゃないかと思います。」
「俺のところでも採るぞ。今は取立人が何人かほしいところだしな。」
『誰も来ないと思うんだけど・・。』
 しかし、声に出せない一同だった・・。

 一同がアフタヌーン・ティーをたしなんだころ、マリオとクッパが戻ってきた。
「遅いぞ!どうしてたんだ?」
 ファルコンが2人に聞き出す。
「いや、実はな、バイトといっても、色々あるわけだろ?」
「へりくつはいいから、本題に入って。」
「弟よ、つれねぇな。兄さん、切ないぜ。」
「はいはい。」
「でな、ワガハイは工事現場へ飛び込んだわけよ。」
「俺は、本職の配管工事の方だがな。クッパは地上で誘導やるんだとさ。」
 マリオは自分が1番なじんでいる職を選んだようだ。
 しかし、クッパは・・・。
「意外だね。クッパなら会社の一つや二つ、興しそうだと思ったんだけど・・。」
「そうね。どうして?」
 ルイージとピーチが口々に聞いてくる。
「実を言うと、もう1つ職をやってるんだ。・・・販売員を。」
『嫌な予感・・・。』
 クッパの思わぬセリフに、リンクやヨッシーなど、古くからいたメンバーは冷や汗をたらした。
「ま、口先でどうにでもなるわ!」
「よく言うぜ。」
「なんだと!マリオ、やるのか!?」
「望むところ!きやがれ!」
 やはり、マリオとクッパはケンカを始めるのだった・・。
「ど、どうしましょう・・?」
「ほっときなさいよ。ほとぼりが冷めたら静かになってるって。」
 オタオタするマルスに、サムスがあっさりと言う。
「でも、これで金銭問題もどうにかなるんじゃない?」
「そうだね。全員動いてくれるとは、ちょっと思ってなかったり・・。」
「・・おまえが怖いからな・・。サボっていると・・・。」
 サムスとルイージの会話の脇でファルコンがぼやいた。
「じゃあ、明日からは仕事だな。時間帯はどんなものかな?」と、フォックス。
「私は夜よ。深夜勤務。」と、サムス。
「僕らは朝からお昼頃。たまに時間変わるけど。」と、マルスとロイ。
「俺は早朝からなんだけど、姫はもうちょい遅いかな。」と、リンク。 「だいたい昼頃じゃねぇ?どいつも。」と、クッパ。
「そりゃそうだな。普通ならな。」と、ガノンドロフがある方向を見て言う。
「わ、私のほう見て言わないでよ!」
 サムスが食って掛かった。
「じゃあ、明日からしゃきっとしようか!」
 こうして、彼らの生活も本当の意味で始まるのだった・・・。
                                                 おわり。

すんません。今回も普通の書き方です。前の書き方に戻すにはまだ早いみたいで・・。
次回からまた初期の書き方に戻すつもりでいます。
しかも今回挿絵がないし。ちょうどいいポイントがなかったのです;
今回も駄文みたいで申し訳ないんですが、次回からはまともになる・・と思います(実行しろ、実行)