3話:新展開

 

RRRRRRRRRRR・・・・・・・・
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ガチャッ

「はい、こちらスマブラ荘です。」
『リンク君?その声は?僕だよ。』
「あ!はい!お久しぶりです!」
『ここの調子はどう?生活してから1週間たつと思うけど。』
「はい、ええと、生活は少し落ち着いたところです。ただ、まだまとまらないところもありますが。」
『まあ、1週間じゃあそうなるかな。他のみんなはどうしてる?』
「みんな元気ですよ。ただ、今はみんな出かけていますが、誰かに伝言とかあるのですか?」
『ううん、特に誰かに、という伝言はないけど・・・。』
「では、何かあるのですか?」
『そうそう、今日の夕方、そっちに向かうから、みんなをその時間までに集めておいてくれるかな?』
「え!?来るのですか?」
『うん。いまやっと、ここの世界に来たところだ。』
「わかりました、多分みんな携帯もってると思うので、夕方までに帰ってくるように伝えておきます。」
『ところで、君はどうしてここに残っているの?みんなと遊びに行ってくればいいのに。』
「あ、いや、昨日ゼルダ姫が散らかしたお皿を処分する仕事があったので・・。」
『ゼルダ姫・・って、新しくきた人?』
「はい、俺の・・・友達です。」
『まあ、それはいいとして、夕方までにはみんなを荘に戻してほしい。多分5時半ごろにここにつくと思う。』
「わかりました。待っています、ルイージさん!」


「どうした、マリオ。誰からの電話だ?」
 ・・・リンクから。夕方までには帰ってこいだとさ。
「なんでまた。なんかあるのか?」
 わからん。あいつの伝言は肝心なところが抜けているからな。とにかく夕方までに帰れって。
「・・・俺、なんかいやな予感がする・・・。」
 ファルコンがめずらしく身震いする。・・・俺も微妙な気持ちだ。

 俺はマリオ。普段は配管工だが、キノコ王国では有名なヒーローなんだ。何度も侵略してくるクッパをこらしめて ピーチ姫を何度も救った英雄って訳だ。
 ただ、ここではクッパもピーチ姫も普通にいるから、気分としては微妙だ。第一、クッパは今、ここで、 俺とファルコンと一緒にいるのだから。
「マリオ、なんか不満そうだな。」
 クッパ、お前、なんで俺らと一緒にいるんだ?
「決まってるだろう!お前らと一緒のほうがおもしろそうだからだ!文句あるか?」
 ・・・ま、いいけど。今じゃ俺、コイツのこと、そんな嫌いじゃないしな。
「でもよ、もう俺は用事は済んだし、帰ってもいいんだが・・・、お前らはどうだ?」
「ワガハイはもういいぞ。まだ3時ごろだが。」
 俺も。特に用はないし、帰るか。

『ただいまー!!』
 俺たちが戻ってきた頃には全員荘に帰っていた。みんなリンクから電話もらって帰ってきたのだろう。
「あ、マリオ、お帰り。今1階を掃除しているところよ。」
 ピーチ姫。なんでまた掃除なんかを?確かにここのところ、汚かったりするけど・・・。
「なんかさ、お客さんが夕方に来るみたいなんだ。誰かは聞いてないけど。」
 ネス、お前はもうちょっと肝心なところまでつっこめ。
「だって〜りんくくん、聞いても教えてくれないんだもん。」
(そうそう、来てからのお楽しみだって。)
 カービィ、ピカチュウ、お前ら、からかわれてるんじゃないか?
「?ねえ、なんか見つけちゃった。」
「どうしたの?ポポ。その本みたいなの。」
 俺はポポとナナ、二人のところへ行く。
 ・・・これは、確か・・・・・。
「あら、懐かしいわね。これ、前にいたときのアルバムじゃない。」
 おわ、サムス。いったいいつからそこに。
「さっきからよ。あんたが遅いんじゃない。」
 む、悪かったな。しかし、そのアルバム、前にいたときの奴だよな。
「そうよ、確か。ねえ、掃除もだいたい済んだし、みんなでコレを見てみない?」
「あ、いいですね!」
「懐かしいな〜。」
「私も、皆さんが昔、ここにいたときのこと、気になります。」
 ま、待て。俺は勘弁してほしい。
 しかし、俺の叫びは完全に無視され、フォックスとドンキー、そしてゼルダ姫のひとことで、アルバム 鑑賞をすることになった。

「わぁ〜、あんまり変わってないね。」
 大きなお世話だ。ほんの1、2年前だ。
「ねぇ、マリオ、コレ何?」
 ああ、これは確か、音楽大会の写真だ。俺たちや、カービィ達が写っている写真が数枚。
 ここではカービィが一波乱おこしたんだよな・・・。
「オイ、コレは何だ?」
 ああ、こっちは遊園地へ行ったときの写真だ。カービィのすごい顔とか、ドンキーの髪型(?)が変わった ような写真や、オバケ屋敷でのオバケをドサクサ紛れに撮ったやつなど、かなりの量がある。
 他にも数々の写真が見つかった。かつての俺の部屋を撮られたり(今ももう写真の通りになっている)、 俺たちが赤ん坊化、幼児化したときの写真、恐怖体験をしたある部屋の体験をしたときの写真など、今と なってはいい思い出と言えなくもない写真ばかりだった。

 そんな思いにふけっているとき、ポポのひとことが俺たちの注目を集める。
「ねえねえ、この写真なんだけどさぁ、
どうしてマリオが2人並んで写ってるの?」
 は?俺が2人?何かの間違いだろう?
「あ、これ、ルイージじゃない?」
「本当だな、前は奴もここにいたのか?」
 ピーチ姫とクッパは即座に反応を返す。
 確かに俺と一緒に写っているのは、俺の弟のルイージだ。
 そう、確かにここにいた。今回は留守番かと思うのだが・・・。
「そうそう、俺ら、この人にとっても世話になったんですよ。」
「いつも僕たちのご飯も用意してくれたりしててさ。」
「遊んでて汚した服も洗ってくれたんだよね。」
「いつもみんなを上手くまとめていましたよね。」
「・・・俺は苦手だ。いつも怒られてばかりだった。」
「ファルコン、あんたはいつも悪ふざけばかりしてたからでしょうが!!」
 そう、みんなの言うとおり、いつでも俺たちのことを気遣ってくれていた。まるで、母親のように。
「マリオ・・・。そのたとえは微妙よ。」
 姫、他に言いようがないのです。
「じゃあさ、こっちのうすいピンクのかわいい子は?」
 ナナがある1枚の写真を指差す。
(あ、そっちはプリン。ぼくの仲間なんだけどさ、けっこうマイペースな子なんだ。)
「いつも本能のままに動くから、時々とんでもないハプニングになってたりしたよね。」
「ちょっとワガママだけど、いいところもあったんですよ。」
「あと、この子の歌声って、聞くととても気持ちよく眠れるんだ。」
「でも、本人は眠られるのが気に入らないみたいで、起きるとイタズラされてんだよな。」
 コレは初耳だな。俺はそんなことはなかったはず・・・多分。
「ねぇ、マリオ、もうこの2人はここには来ないの?」
 ・・・さあ、多分ここには来ないんじゃないか?
「俺は御免だぜ。またガミガミ言われるのはもう勘弁だ。」
「よほど苦手なのか?ルイージの奴が。」
 クッパ、お前はここにいるときのあいつの怖さを知らないからな・・・。
「ねえ、じゃあ、今、ここにいる子は?」
 ?何のことだ?ポポ。
「ほら、マリオさんの足元にいる、うすいピンクの子だよ。」
 ・・・・・・。
 俺は足もとを見てみる。
 すると、いつの間にか、さっき話していた2人のうちの1人、プリンがいたのだ。
 い、いつからそこにいたんだ?お前は!?
(いつからって、ずっと前からよ!呼び鈴鳴らしても来ないから、何してるのかな、って思って、来てみたら、 なんか懐かしい話をしてたから、聞いていたの。こっそりと。)
 こっそりと、って・・・。呼べよ!聞いてないで!
 って、ちょっと待て。お前1人で来たのか?
(まさか!連れがいるわよ。そもそも電話よこしたはずだけど?)
「あ!しまった!今何時?」
 リンクがらしくもなく慌てる。今は・・・6時だが。
「もう30分もたっています。5時半にここにくる、って言ってましたから!」
「なんですって?じゃあ、早く出迎えないと!」
 みんな慌てて玄関へ向かう。俺も急いで向かう。

「まったく、のんきなところは全然変わってないなぁ。みんな。」
 そのセリフを、ものすごく聞き覚えのある声を聞いて、俺は目を疑った。
 そう、目の前にはさっきまで俺たちが話をしていた、我が弟のルイージがたっていた。

「5時半にはここに来ると言った筈だよ。片付けでもしてたの?」
「ごめんなさい!ちょっとみんなを驚かせたくて、誰が来るかは黙ってました。」
 なるほどな〜、リンク。心臓に悪いぞ〜。俺とファルコンは見事に硬直してしまった。
「時間は伝えただろ?」
「はい、ただ、アルバムを見つけまして、それで知らない間に時間が経ってたみたいです。」
「お客って、ルイージのことだったの?」
「おや、ピーチ姫。あなた、ここのメンバーでしたか。」
 みんな再会を喜んで、話し掛けにいっている。・・・俺とファルコンをのぞいて。
「どうした?2人とも。挨拶しにいかんのか?」
 クッパ、お前はどうなんだ?お前だってここにいること、いったらどうだ?
「なに、お前らの様子がおかしかったからな。」
 ・・・人の気も知らないで。
 ふと、別のほうで固まっている俺たちに気づいたのか、ルイージは近寄ってくる。
「クッパ、君もここに?」
「ああ、悪いか?ワガハイがここにいる事が。」
「別に。誰がきても驚かないよ。ここにはいろんな人が来るからね。」
 そして、俺のほうを向く。
「兄さん・・・、どうしたのさ。僕がここに来るのが嫌だったのか?」
 不意に弟の顔が曇る。ヤベェ!俺、なんか悪いことしたか?
「あからさまに嫌そうな顔してたからだ。」
 う・・・。違う、ただ急に来るから、心の準備ができていなかっただけだ!
「・・・本当に?」
 ああ。だからもうそんな顔すんな!
 ・・・やっとルイージの表情が戻る。あんな顔されたらこっちが悪いような気がしてくるぜ。
 しかし、ルイージの視線がファルコンに移る。
「久しぶりだね。ファルコン〜。」
「あ、ああ。いつから来てたっけ?」
「5時半だよ。30分間ここで待ってた。」
「あ、ああ。悪かった。気づかなくて。」
 あ、この様子、明らかに怒ってる。顔はにこやかだけど、目が笑ってない。
「それはいいよ。それより、もう来てほしくないってどういうつもりかな?」
「き・・聞いてましたか。」
「聞こえる距離だからね。しかも人がきた途端、そのあからさまな態度はどういう意味かな?ファルコン?」
「うわああああああああああああ・・・。」
 あわれ、ファルコンはルイージによって、頭をぐりぐりされた・・・。あんなこと言うから・・・。
 ファルコンは前も、いたずらやら、何かしでかすたびにルイージに叱られてばかりだったしな。今回もそうなりそうだ。

 で、何しにきたんだ?用もなく来るとは思えないが。
「そうそう、君たちに知らせたい事があって来たんだ。」
 ルイージはどこかから紙を取り出す。
「これだよ。」
 なになに・・・、7泊8日のリゾート地の宿泊?何だそりゃ。
「そこに・・・なにかあるのですか?」
「そうです。えーと・・・。」
「ゼルダです。ハイラルの王女です。」
「そうだ、ゼルダ姫、なにかあるのですよ。」
 ・・コイツも相手によって口調を変えるか・・・。
「ここであるイベントがあるんだ。そこで君たちにも一肌脱いでもらいたいと思って。」
 どうしてお前がそんなことを?
「いや、僕ら、前にここにいただろ?その噂を聞いた主催が、ぜひ兄さんたちに出てほしいって。」
 ・・・うさんくさいな。
「でも、宿泊費と交通費は向こう持ちだから、悪い話じゃないだろ?」
 まあ、確かにな。で、何のイベントだ?
「僕も詳しいことは聞いてないんだ。簡単なことだから、現場についてから話すって。」
 ふーん、だいぶ怪しいが・・・。
「それに、空いた時間は好きにしていいって。リゾートだから、遊び放題だと思うけど。」
 そのひとことを聞いた女性、子供、動物メンバーはすぐに目の色が変わった。
「ねぇマリオ!リゾートだって、リゾート!遊び放題よ!」
「宿泊でしょ?そういうのって、僕は好きだよ!行こうよ!」
「僕も気になるな〜。雪山以外のところってあまり行った事がないんだ。」
「ねぇ、暑いところ?」
 ピーチ姫にネス、ポポとナナはおおはしゃぎ。行く前からノリノリだ。
「常夏の地域だから、暑いよ。上手くいけば、こんがり小麦色美人に、イケメンになれるかもよ?」
 追いうちのひとことに、今度はファルコンとリンク、サムスの様子が変わる。
「なに!?お前、なかなかいい情報もってくるじゃないか!」
「ファルコンさん、態度があからさまです。でも、悪くはないと思います。」
「小麦色美人?行くわ!」
 ノリノリの中、1人浮かない顔をしている。フォックスだ。
「あのー、俺、暑いところは毛が蒸れて苦手なんですけど・・。」
「フォックス君、君にもいい話が。実はこのイベントの報酬なんだけど・・・。」
 ルイージ、おまえ、みんなの性格と状況を知り尽くしているな・・・。
「これだけあれば、ローンが少しは楽になります。やりましょうか!」
 いったいどれだけの報酬が・・・。
「報酬はかなり出るそうだよ。働きに応じて、出してくれるそうだ。」
 なるほど、しかし、お前も口が上手いな。みんなを行く気にさせるなんて。
「兄さんにだって、悪い話じゃないよ。と、そうだ。
日にちは今日から1週間後。船で行くから、1週間後の朝9時には港に来てほしい。」
 わかった。お前がそうまでして誘いたがるんだから、さぞかしいいところなんだろう。
「それまでに準備をしておいて。風邪をひかないようにね。と、それじゃ・・・。」
 ルイージが立ち上がる。そこで、子供たちが声をかける。
「ねぇルイージさん。もう帰っちゃうの?」
「そうだよ、せっかく来たんだし、ここに泊まっていきなよ。」
 ネスとカービィが口々に引き止める。久しぶりに会えたのがとても嬉しくて、すぐに離れるのが惜しいの だろう。
「そうだよ。部屋はたくさん空いてるし。」
「それに、時間ももう遅いでしょう?」
 ドンキーとヨッシーも続いて引き止める。
「それに俺、話したい事がたくさんあるんです。今までの生活とか。」
「私もよ。それに、1泊くらいなら外部の人がいても問題ないはずよ。」
 ?どういうことだ?
「兄さん、カードの裏を見た?そこには荘の決まりごとや、カードの諸注意が書いてあるはずだよ。」
 言われるままに、カードの裏を見る。
『このカードはスマブラ荘の身分証明書ともいえる。これがない者は荘の住人とは認められず、3泊したら 強制的に立ち退いてもらう。』
 なるほどね。カードがない人物は、数日の宿泊はできても、暮らすことはできない、か。
「みんながそう言うなら、泊まっていこうか。」
(もちろん、あたしも!)
 ルイージとプリンがそういった途端、周りが大喜びした。
 ところで、プリンは何しに来たんだ?
(あたしはルイージについてきただけ!)
 あ、そう。

「ねえ、みんないままで食事はどうしてた?」
 ルイージがキッチンを見ながら言う。
「いつもテイクアウトで済ましているわ。誰もご飯を作ろうとしないんだから。」
 ピーチ姫、お菓子しか作りませんから・・・。
「いつもテイクアウトじゃ、バランス悪いよ。何か作るよ。リクエストはある?」
 そういったとき、次々とリクエストが来る。
「え?ルイージ、料理できるの?」
「ええ、前は彼がいつも食事を用意してくれていたんです。」
「うう・・意外な事実が・・・。」
 ピーチ姫もクッパも驚いている。そりゃそうだ。こんな大人数の料理をたった1人で用意しているのだから。
「料理だけじゃないですよ。家事全般はすべてやってくれましたから。」
 そう。洗濯や1階の掃除もやってたっけ。
「あれ?お皿の数が少ないね。誰が片付けたの?」
「ごめんなさい。私が半分ほど割ってしまいました・・・。」
 ゼルダ姫が素直に事実を告白する。
「そうか、今度からは気をつけてくださいね。」
 大丈夫だ。それ以来、リンクが片付けているから。
 しかし、相手が俺たち以外なら優しいんだよな。あ、俺たちってのは、俺とファルコンのこと。 どうも自分と同じ歳か年上の相手(男)には、だらしないと厳しいみたいだ。
「兄さんたちは気が抜けすぎなんだよ!」

 食事の時間、今まで以上に騒がしく、そして楽しかった。
 やっぱ手料理がそういう空気にするのだろうか。ピーチ姫にゼルダ姫、ポポとナナも満足そうだ。 クッパでさえ、悪くないな、とか言ってたし。
 そんな気分のまま、俺はベッドに入った。なんかいつもと様子が違うのは、気のせいじゃないだろうな。

                                                     終わり。

ついにあの2人が登場です。この2人は前作(オフライン)でも登場してました。
プリンはひたすらマイペース、時々騒ぎを起こしたりしてました。
ルイージは家事全般を請け負う、主夫を立派に務めていました。
しかし、文がどんどん無駄に、おかしくなっています。人数が多くなると、整理がつかなくなるのでしょう(笑)
しかし、イベントの詳細くらいきいてこいよルイージ・・・。