4話:新たなる予感・準備編

 

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ぴっ

 俺は目覚ましの音を止めると、そのまままた布団に倒れこんだ。眠い。
 いちおう7時にはセットしてあるのだが、早いんじゃないかという気もしないでもない。大半は7時前には 起きてくるのだが、中にはとんでもない寝ぼすけもいる。俺はそういうわけではないが、なんとなくもっと 寝ていたかった。
 そう考えているうちに、俺の意識はまどろんできた。2度寝ができそうな予感・・・と思ったその時。

ガンガンガン!!!

 とんでもなくでかい音が俺の耳に届く。・・・やかましいくらいに、何度も、何度も。
 俺は意地でも起きようとせず、寝返りをうってみせた。すると、今度は布団をはがされた。・・寒い。
「いつまで寝ているつもり!?もうみんな起きてるよ!」
 うっ、この声には覚えがある。・・・嫌になるくらい。
 ルイージだ。昨日、泊まりに来ているのだが、どういうわけか家事全般に身の周りの世話(俺に言わせればおせっかい) まで、全部主導権をとっている。・・・以前の癖が抜けていないみたいだ。 「さっさと起きてくれないと朝ごはんが片付かないじゃないか。それに全部ヨッシーとカービィに食べられるよ!」
 そんなこといいじゃないか〜、後で追加してくれよ〜、俺とお前の仲だろ〜?
「君からは何を言っても、文句以外かえってきた覚えがないんだけど・・・。それに、あんな大人数なのに、連続で 作るのは大変なんだよ。」
 ああ言えばこう言う。わかったよ、起きればいいんだろ?
「最初から素直に起きてくれよ・・・。さてと、次は兄さんか・・・。」
 そう言って、ルイージは出て行った。・・・俺はどうもあいつが苦手だ。

 俺の名は、周りからはキャプテン・ファルコンと言われている。ここではファルコンと呼ばれているが。 俺のいる世界では、有名なF−ZEROパイロット、または凄腕の賞金稼ぎで名が通っている。普段はクール なイメージでいるのだが、何しろこの状態でいるのは楽じゃない。だからここでは気を抜いてリラックスしているのだが・・・。 どうせ俺の世界から来た奴はいないし。俺に恨みを抱いている輩もいないし。・・・ライバル視している奴なら いるかもしれないが。
 ・・・奥の方がなにやら騒がしい。奥の部屋はマリオの部屋だ。・・・あいつも大変だろうな。普段からも ああなんだろう。
 仕方ない、起きるとするか。
 奥のマリオの部屋が戦争状態になっているようだ。ものすごい音がするぞ。・・・無事でいろよ、マリオ。 友人として祈る。

 下に下りると、もう賑やかな朝食風景だった。サムスとマリオとクッパをのぞく全員がここにいた。 ルイージと同様、泊まりに来ていたプリンもいる。やけに賑やかだ。・・・今まではここまで賑やかじゃなかったような。 買ってあったパンを適当に食べる生活だったし。
 そのせいか、ルイージの評判は他の奴によると、ものすごくいい。ピーチも満足していたような。 リンクに至ってはえらい懐きようだ。話によると、一緒にいると気持ちが落ち着く、だそうな。 ・・・服の色が一緒だからじゃないか?
 そんなことはお構いなしに、ルイージがマリオとクッパを連れてくる。・・・連れてきたというか、引きずってきたと いうか・・・。クッパ、お前もか。なんか顔が複雑な表情をしている。そうか、あいつはここにいるルイージ の強さを初めて知ったようだ。・・・普段の彼を見たい気がする。

「今日は買出しに行きませんか?1週間後でしょう?イベント。」
 フォックスがぽつりと言う。そういえば、昨日そんなことを言っていたな。正確には6日後だが。
「そうね、7泊8日となると、着替えを足しておく必要があるわね。」
 ピーチも納得している。
「あとさ、お菓子とか!おなかすいちゃうよ〜。」
 カービィ、それはお前だけだろう。
「そうですよねぇ、腹が減っては戦はできない、っていいますし。」
 ・・・もう1人いた。ヨッシーめ、何気に筋の通った理屈を・・・。
「それに、暇つぶしもほしいよ、ゲームボーイアドバンスSP買ってよー!」
「ネス〜、もっと上手くねだろうよ。」
「そうよぉ、そんなあからさまじゃ、ばれるわよ。」
 ちょっと待て、そこのガキ3人。なぜ俺の方を見て言う?
「一番お金もってそうだからじゃない?」
 いつの間にかサムスがここにいた。・・・おまえ、いつ起きた?
「ついさっき。騒がしかったから。」
 ・・・いい身分だ。それに、なぜかルイージの奴、サムスは起こさないんだよな。差別だろ、それ。 「女性の部屋にはなかなか入れないのですよ、紳士なんですよ、きっと。」
 ・・・ゼルダまで。なんか俺の評価が下がってないか?
 そういううちに、今日のスケジュールは買出しに決まった。
(ところでさ、プリン達、いつまでここにいられるの?)
 ピカチュウがふと気づいたかのように聞く。
(えーと・・・ちょっと待って。)
 プリンはルイージのもとに行って、2人でひそひそ話を始めた。・・・妖しい。
 やがて、納得したかのように、話は止んだ。
「お昼ごろにはここを出ないと。じつはまだスケジュールがあるんだ。」
 ルイージが言う。まるで営業サラリーマンのようだ。昨日は1泊して専業主夫をして、今日は 営業か。あいつも大変だな。
「ねぇ、でもプリンは残ってもいいんじゃない?ルイージについてきてるだけでしょ?」
 ドンキーにしてはめずらしいセリフだ。いい点をついてる。
(だ、だめよ!そんなことしたら・・・。)
 プリンがやけにあわただしい。なんなんだ?
「ドンキー、1つ忘れてない?僕ら、カードがないんだよ?」
 あ、そういえば。荘に入るのに必要とかいうカードがあの2人にはないんだっけ。
「まだ6日もあるし、ここに長居ができない、てことですよね?」
(そ、そうよリンク!そうなの!)
 やけにプリンがあわただしいのが気になるが、今のところ、引き止める理由もないので、これ以上は 何もいわなかった。  ところで、このカードの意味、いつ知ったっけ・・・?昨日だったような、前からだったような・・・。 昨日は大騒ぎだったからな。あまりよく覚えていないぜ、俺。

 買出しは午後から行くことに決まった。その前にルイージたちとは別れることになるのだった。 ・・・あわただしそうな割には昼食は作ってくれたりする。・・・やっぱ以前の癖は抜けていないな。 まあ、その点はありがたいかな。
「じゃあ、僕らはここで失礼するけど、イベントまで身体を壊さないようにしてよ。」
「うん、わかった。」
 まずはネスが返事をする。
「食事もきちんととってよ。たまにはテイクアウトを控えた方がいいよ。」
「うーん、あなたの他に作れる人がいるかどうかわからないわ。」
 ピーチが困った顔をする。彼女、お菓子しか作らないからな・・・。
「兄さんがけっこう上手ですよ、姫。」
「なっ!?こら、ルイージ、てめぇ!!」
「そうなの?じゃ、マリオ、よろしく頼むわv」
「そんな、姫〜(涙)」
 そういえば、マリオの奴、意外と料理ができるんだよな・・・。でも、あまりやろうとはしない。なぜだ?
「ここの食器の扱い、なんかやりにくいんだよな・・・。」
「そうですか?どれも同じだと思うのですが。」
 リンクがもっともなことを言う。俺もそう思うぞ、マリオ。
「集合場所は外れの港に、9時だからね。そのときは僕らも一緒に行くから、ね。」
 行きは一緒かよ!・・・まあ、そのことをよく知っている奴が一緒の方が、安全だしな。
「9時までに行けばいいの?」
「ポポ、もっと早くに到着するべきよ。」
「ナナ君、いいこと言うね。その通りだよ。」
 わかったから、もう行ったほうがいいんじゃないか?
「あ、そうだ。それじゃ、またイベント当日にね。」
(ばいばーい!)

 ルイージとプリンの2人は帰っていった。しかし、最後までおせっかいだな。よほど心配なのか、俺たちが。 プリンはなんか能天気だし。そういえば、プリンがここに残るとかいう話が出たとき、えらいあわてていたような・・・。 なんなんだ?
 まあいいか。気にしてもしょうがない。買出しに行こうじゃないか。
「その前にご飯食べようよ〜。おなかがすいたよ〜。」
 カービィ、お前はいつもそうだろう?
「確かにもうお昼ですよ。先に食べましょうよ。」
 フォックス、お前もか。まだ11時回ったばかりだぞ。
「ファルコンさんは大量に食べてたからでしょう。どんどん早食いして・・・。」
 そうなのか?気づかなかったわ。ははは。
「ずっとパンだけだったから、久々の手料理が恋しかったんじゃないの?」
 それはお前もだろ、サムス。ゆうべは夜食までもらってたくせに。
「見てたのね!アンタ!」
 別に隠すことじゃねぇのに。いてて、あまりマジでぶつなって。
「とにかく、昼飯にしようではないか。ワガハイ、じつは食い足りないのだ。」
 へぇ、めずらしい。いつも朝はパンだけで過ごして、昼が遅くなってもそんなこと言わなかったのに。
「やかましいぞ、ファルコン!」

 ちょっとはやめの昼食をとり、早々と買い物に出かけた俺たち。
 イベントまでに必要なものをそろえるというが、なにをそろえるんだ?
「ここはピーチ姫が言っていたように、着替えでしょう。特に下着なんか、持ってきている分は数日しか 持ちませんよ。」
 フォックスがもっともらしいことを言う。俺だったら使ったらすぐ洗うんだが。
「あんた、風呂場で洗濯する気?」
 サムス、なに言ってんだ!んなベタなことするわけないだろ!!
「どうだか、図星だったでしょ?」
「はいはい、ケンカは後にして。それに、服もほしいでしょ?」
 ピーチ、ナイスタイミング。確かに、替えの服もいくつかほしいよな。
「ファルコンさん、ツナギとか、作業用の服じゃありませんよ。」
 リンク!お前もか!みんな俺を何だと思ってるんだ・・・。
「では、みんな見るところが違うでしょうから、グループごとに行動しましょうか?」
 ゼルダが提案する。
「そうだねー、ぼく、ちょっと見たいところがあって。」
「ネス〜、ゲーム見に行くなら、着替えを買ってからにしてくれよ。」
「あ、ばれてたんだね。さすがフォックス。」
「じゃ、行きましょうか。」

 最初のグループ分けは、服を着る奴と着ない奴に別れる。ドンキーとヨッシー、カービィ、ピカチュウ、クッパ は、旅行に必要な道具類の買出しにいくことになった。俺たちは服探しだ。
 さらにグループ分け。今度は男女別だ。どうも下着を買うのに男がいるのは嫌なようだ。・・俺も嫌だ。
 と、いう訳で、現在俺は、マリオ、リンク、フォックス、ネス、ポポと一緒にいる。しかもネスとポポは さっさと買い物を済ませにどんどん先にいってしまった。・・・迷子になるんじゃないぞ。
 俺たち4人は着替えの品をカゴに放り込んでいく。その後、服を探してみる。言っておくが、作業服じゃ ないぞ。俺だって、その気になればコーディネートはそれなりにはいけるのだ。それが上手くいっていないと 思うんだったら、それは描いてる奴の腕が悪いか、センスがないだけだ(ひでぇ)
 そこで、ネスとポポが俺のところに来る。買い物カゴは俺が持っているからな。
「これだけ買っといて。じゃあ、僕らはちょっとおもちゃ売り場に行ってくる。」
 ネスはそう言って立ち去ろうとする。お前ら、これだけでいいのか?たった2着しかないが。
「僕はここに来るとき、服はけっこう持ってきてるから。」
「ぼくも。それに服はだいたいナナが選んでくれてるから。」
 そうか。しかし、ポポ。それ、ノロケか?ま、いいか。
 続いて、リンクとフォックスが服をカゴに入れていく。
 ・・・お前ら、いつもの服とそんな変わらんぞ。
「いいんです!俺、その色が落ち着くんですから!」
 そうかい。しかしリンク、緑色しかないぞ。上の服。
「マリオさんの服も、赤しかありませんよ。」
 フォックス、ずばり言ってしまったか。
「赤は俺のメインカラーだからな。わかりやすいだろ?」
 みんな自分の色にこだわるようだ。俺はあまり気にしないが。
 でも、リンクの緑色はダブるぞ。ルイージと。
「俺の方が明るい色をしているんですよ。」
 ふーん・・・。そういえば、ルイージの奴、昨日泊まっていったが、着替えがなかったはず。どうしたんだ?
「俺のシャツを貸しました。違和感なかったと思いますが。」
 ああ。全然気づかなかったぜ。色が一緒で。
 そうしているうちに買い物カゴはいっぱいになってきた。
 そろそろ女共も買い物が終わる頃だろう。

 ちょうど女共も買い物を済ませてきたらしい。でかい紙袋でいっぱいだ。
「お待たせー。やっと買い終わったわ。」
 いや、俺らもちょうど終わったところ。
「ゼルダの服を探すのに大変だったわ。」
「ピーチ姫、どうしてです?」
「シークの分もほしいって。」
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「変身する時に服も一緒に変わるのに・・・。」
 リンクがぽつりとつぶやく。
「さ、ファルコン、これ持って。」
 サムスが俺に何かを手渡す。・・・紙袋?
 って、これ、さっき買った服じゃないか!自分で持っていけよ!
「レディの荷物を持つのは、男性の義務よ。」
「そうよぉ。レディに恥をかかせちゃだめよ〜。」
 ・・・ピーチめ、サムスに余計な知恵を仕込んだな・・・。サムスはいつもならパワフルでどんな大荷物も 自分で持っていくのだが。
「文句いってないで、持ってってよ!」
 ・・・・・やれやれ。よく見ると、マリオにリンクも手に荷物を持っている。押し付けられたな。

 道具を買出しに行っていたクッパたちとも合流し、あと必要なものは近いうちに購入することにした。 準備をしているうちも楽しいんだよな。なんだかんだ言いながら、みんなも楽しみにしているみたいだし。
 俺もこの際、童心にかえって楽しみにしようか。マリオとクッパもわりとはしゃいでいるようだしな。
 イベント当日まで、あと数日・・・・・。何が出るか、待ち構えてみようか。
                                             終わり。

今回はただの雑談で終わった気がします。テーマなんて知ったことじゃない、みたいな(苦)
ルイージ&プリンはここでお別れとなっていますが、ご安心ください。またすぐ出ます。
次回はイベント出場編に入ります。