5話:新たなる予感・出発編

 

 某月某日、天気は晴天。
 ぼくらは今、港にいる。迎えの船を待っているんだ。
 あ、名前がまだだったね。ぼくはネス。オネットの町に住んでいる平凡な子どもだ。いや、1つだけ平凡じゃないところがあるんだ。 ぼくはPSIという超能力が使えるんだ。その力を使って、地球の危機を救ったこともある。今は その力はこの世界でのバトル(試合)を活用して、コントロールできるように訓練中なんだ。ま、ここ最近は滅多に バトルはないんだけど、今日、あるイベントにぼくらが参加するみたいなんだ。久しぶりのバトルに、 ぼくは期待で胸がいっぱいだ。
 周りを見ると、みんな待ち時間を持て余してるようだ。そりゃそうだ。だって9時までに到着とは言われてるけど、 なんせ到着したのが7時半だったんだ。出かけるときに、いくらなんでも早すぎるんじゃ、と言ったんだ。でもさ、大人・・マリオさん達は 「時間に遅れると、あいつが怖い。」と言って、聞かなかった。あいつってルイージさんのことだよね? そんなに怖くないと思う。むしろ優しくていい人だと僕は思う。お兄さんなのに、弟をここまで怖がるなんて、 変だよね?ぼくだって、妹がいるけど、そんなに怖くないよ。・・いや、怒ると怖いけど・・・。それと 同じようなものかな?
 ぼくはカービィ、ポポ、ナナと一緒にお菓子を買いに行っている。やっぱヒマだからね。GBAも持ってきたけど、 うっかりしたことに、電池を忘れた・・・。ついでに買ってこよっと。
 売店に到着すると、もう先にドンキー、ヨッシー、ピカチュウがホットドックを買っていた。早いよ〜。
「だって朝食もまともに取らずに出かけましたからね。」
(お腹ペコペコだよ〜)
 そりゃそうだよね。僕もお腹がすいてきた・・・。ところで、ドンキーの買ったホットドックって、何なの?初めて見るタイプだけど?
「あ、これバナナホット。ウインナーの代わりにバナナが入ってるんだよ。」
 ・・おいしいの?それ。
「うまいよ、コレ〜。」
 わ、カービィがいつの間にか買ってるし。・・ぼくは普通のホットドックを買うよ。
「ねえねえ、なんだろ。この『桃ホット』って。」
「ポポ、『コーラ(ホット)』もあるわよ。」
 なんでもホットにすればいいってもんじゃないと思うけど・・・。しかし、これから常夏の地域に行くのに、 熱いの買うの?
「僕ら、寒い地方から来たから、ついあったかいのほしくなるんだ。」
「はい、ネスの分よ。コーラ(ホット)。」
 ・・・いらない・・・・・・(滝汗)

 売店から戻ると、リンクとフォックスの2人とすれ違った。売店に行くのかな?
「まだ8時半だよ。あと30分もあるよ。」
「マリオさんもここまで神経質にならなくてもいいと思ったんだけど・・・。」
 まったくだ。そういえば、ファルコンも神経質になってたっけ。どうしてだろ?
「あの2人、ルイージさんのことを気にしてるんだよ。」
 フォックスが耳打ちしてくれた。いつも怒られてるからねぇ。
 2人と別れると、待合室に着いた。そこでは、ファルコンとクッパさんの2人がゲームをやってる。わきには マリオさんがじっとその様子を見ている。ファルコンの手にある片面が白でもう片面が黒のコイン(?)・・ オセロをやってるみたい。ファルコンがじっとゲーム盤をにらんでいる。
「よお、ネス、それにカービィにポポ、ナナ。」
 マリオさんがこっちに気がついた。僕らはそっちに向かう。
 ぼくはゲーム盤をのぞいてみた。どっちが白?黒?
「ワガハイが黒だ。」
 クッパさんが余裕の表情で言ってきた。なるほど、ゲーム盤はだいぶ黒くなっているし。ファルコン、負けてるよ。
「うっさい!あまり話し掛けるな!」
 あーはいはい。熱中してるね。
「これでどうだ!!」
 ファルコンはやっとのことで動き出した。が、しかし。
「かかったな、これで終わりだ!」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 あわれ、ファルコンのおいた場所は、クッパさんにとって絶好のポイントだったらしく、あっという間に ゲーム盤は真っ黒になった。白はほんのわずかなところ・・しかも置いてあるところの列はもう置けない 状態・・にしかなかった。
「これでワガハイの10連勝だな!」
 10連勝・・・ファルコン、弱。
「うるせぇ!ちまちまとまわりくどい方法で攻めやがって!!」
 あーもー、これだから直球勝負型の人は・・・。これあげるから落ち着いて。
「あー、サンキュ・・って、これ、コーラじゃねぇか!!」
 そうだよ?それが?
「熱いわ!!コーラは温めるもんじゃねぇ!!」
 あー、おかしいよぅ!やっぱ不意をついてからかうもんだねぇ。
「マリオさんも飲みます?ホットコーラ。」
「え、遠慮しとく。」
 わきではナナがマリオさんに勧めてるし。誰も飲まないだろ。
「3人ともー、買ってきたわよ。飲み物。」
 今度はサムス、ピーチさん、ゼルダさんの3人が来た。なんか缶の飲み物を持っている。
「何がいい?」
「暖かいものがよろしかったですよね?」
 持って来たのは、しるこ、みそ汁、おでん汁・・・。
 ・・・ここにはまともな飲み物は売っていないのだろうか。
 マリオさんとクッパさんは何も言わずに、しることみそ汁を飲んでいる。
「ちょっと待て!俺はおでん汁を飲めと?」
「そりゃそうじゃない。もうこれしか残ってないもの。」
 サムスがしれっと言ってのける。
「具がないじゃないか!!」
 そりゃそうだね。缶だし。
「温かけりゃなんでもいいって言ってたじゃない。」
 か、仮にそうだとしても、おでん汁はないだろう。・・おもしろいからあえて言わないけど。
「何?もう結果出たの?」
「真っ黒ですね。どっちが黒ですか?」
 ピーチさんとゼルダさんがオセロ盤を眺めている。
「あ、ワガハイ、ワガハイ。」
 クッパさん、妙にはしゃいでるなぁ。ちょっとかわいいかも。
「白は?」
「こいつ。」
 みんなしてファルコンを指差す。
「ファルコン、あんた激弱ね〜。」
 サムスの容赦ないひとことが飛んだ。あ〜あ、ファルコン、凹んじゃったよ。
「こいつ、とにかく直球で攻めてくるからな。あとからハメるように持ってくのが楽勝なんだよな。」
 マリオさんまで。ますます凹んじゃったよ。
「そこまで自信があるのでしたら、今度は私と勝負しません?」
 ゼルダさんが自信ありげに言う。
 と、そこへ別の方から声がかかった。
「もう、時間だよ。続きは船内でやってくれないかな?」
 声のした方を見ると、いつの間にかルイージさんが立っていた。
「他のみんなは、もう船にいるよ。あとは君たちだけ。」
 あ、は〜い。
 カービィとポポ、ナナはもちろん、マリオさんたちもぞろぞろと立ち上がって、歩き出した。ぼくもあわてて ついていった。
 ・・あれ?ルイージさん、そういえば、プリンはどうしたの?一緒にいると思ってたんだけど。
「プリンは準備のため、ここにはいないよ。」
 そっか。着いたら会えるみたい。

「うわ〜、ひろ〜い、でか〜い。」
 カービィが入り口でぽかんと口を開けていた。船は初めてなの?
「こんなに大きいのは初めて。」
「僕とナナも船は初めて見るな〜。」
「うちら、雪の降るところにいぼく僕も乗るの初めてなんだっけ。子どもだけじゃチケット買えないからね。
 目の前の船はかなり大きかった。ルイージさん曰く、貸切のフェリーとかいうんだって。僕らしか乗らないみたい。
「しかし、お前がこんな船用意したのか?」
 クッパさん、うさんくさげに言ってる。
「いや、用意したのは僕じゃないよ。僕はただ迎えに出ただけ。」
「じゃあ、誰が用意したんですか?」
「主催側だよ。フォックス君。交通費等も向こう持ちだって言ってたでしょ?」
「そうだったわね。じゃあさ、この船の設備・・ジュースとかもあるの?」
 と、今度はサムス。
「うん、あるよ。でも自販機だから、そっちは自腹だけど。」
 そのひとことで全員がコケた。ジュースは別バラらしい。主催側って、わりとケチっぽい?
「あ、そうだ、何か欲しいのがあったら、僕に言ってくれれば持ってこさせるけど。メニューならそこにあるから。」
 ふーん、じゃあ、ぼく、オレンジミックスジュースが飲みたい。
「あ〜ネス、ずるい〜。ぼくもぼくも!」
 何がずるいのかわからないけど、カービィもぼくと同じものを注文したようだ。
「これだけでいいの?他には?」
「ん〜、今は特にお腹はすいてないし、いいかな?」
「また、お腹が空く頃に頼むわ。」
 みんな口々にしゃべりだす。
「そう。じゃ、行ってくるから。すぐにくると思うよ。」
 そう言って、ルイージさんは船室から出て行った。

 いったいどれだけの時間、こうしているんだろう。どれくらいで着くのかな?
 そんな期待を胸にしまい、ぼくはぼんやりと景色を眺めた。
「へぇ、ここから外が見えるのか。」
 フォックス。船ってけっこう速いね。
「んー、俺は船といっても宇宙船みたいなもんだからなー。ちょっとしっくりこないな。」
 フォックスが首をかしげたとき、扉が開く音がした。
(お待たせしましたーvオレンジミックス2つ、お届けにまいりましたーvv)
 ん?なーんかものすごく聞き覚えのあるプリプリ語・・。あ、ぼくらはその言葉はなんとなくわかっちゃうんだけど。
 振り向いたら、そこにはジュースの乗ったお盆を持ったプリンがいたのだった。

(なに、その嫌そうな顔は。あたしが来たのがそんなに嫌なわけ?)
 う、ううん。そうじゃないけど・・・。
 プリンが外出先ででてくるのは、なんとなくトラブルの前兆みたいで怖いんだけど。そんなことは口が裂けても 言えないんだけど。
 と、いうか、ルイージさん、たしかプリンはここにはいないって言ってたような・・。
(言ったのは船着場でしょ?確かにあたしはそこにはいなかったわよ。)
 ・・言い方がまぎわらしいよ、ルイージさぁん・・。
(あ、そうだ。ルイージから伝言があったんだっけ。
この船は完全オート運転よ。勝手に目的地につくわ。)
 ふーん。運転手要らずなんだ。ぼくは楽観的にそれを受け止めた。ただ、次のひとことでそれはいともあっさりと 崩れ去った。
そのオート運転のスイッチを入れたのはあたしーvいっぱいボタンがあったから、どれがどれだかわかんなかったけど、何とか見つかったからよかったよかったvv
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 そのセリフでその場にいた全員が凍りついた。
 ・・・ルイージさん、あなた、止めなかったんですか?
「止めたよ。でも、聞かなかった。眠らされたよ。」
 ・・・これ、なにかの試練ですか?(涙)
「あ、あのさ、目的地までどれくらいで着くんですか?」
 リンクが尋ねた。ぼくも気になってたところだ。1、2時間くらいだったらいいんだけど・・。
「あ、言ってなかったっけ?目的地まで半日はかかるよ。」
 ・・・もう耐えられないかも。もし、目の前に障害物があったらどうするの?
(それは心配いらないわ。一応道筋のデータがプログラムされているから、たいていのものはよけて動くわ。)
 じゃあ、予期しないアクシデントがあったら?
(あたしが手動でよけるわ!!)
 ・・・もうダメだぁ・・・。半日もハラハラせにゃならんの?
(いざって時には、ここに救助具が置いてあるわYO!これから説明するから、よく聞いてYO!)
 ・・・こんな態度の説明は信用できない・・。ルイージさん、あなたが説明してください。
「ごめん、僕、これから向こうと連絡をとらないといけないんだ。説明はプリンにまかせてあるから。」
 いや、プリンだからこそ心配なんだけど・・。
 とか言ってる間にルイージさんはもう行ってしまった。この説明で15人の命がかかるのか・・・(涙)。

 プリンの説明はかなり大雑把だったが、とりあえず聞いておいたので、あとはハプニングが起きないことを祈るばかりだった。
 あまりの緊張感からか、不意にトイレに行きたくなった。トイレはたしか、下のほうだったはず・・・。

 トイレを済ませたぼくは、手を洗っている途中、何かの物音に気がついた。
 なんか、カタカタ音がする。上のほうだ。上で・・ちょうど掃除用具置き場の中から?なんだろう。ぼくは 掃除用具置き場を開ける。すると。
 何もなかった。・・気のせいだったかな?そう思って扉を閉じた。すると再び物音がした。また扉を開ける。 何もない。閉じる。音がする。開ける。何もない。閉じる。音がする。開ける。何もない。閉じる。そしてまた、音がする・・・。
 何なんだーーーーーーーーーーーー!!(怒)
 ぼくは怒りのあまり、すごく乱暴に扉を開けた。すると。
 なんか小さい生き物がそっと片目だけのぞかせてこっちを見ていた。
 黄色くて、かわいい謎の生き物だ。?どこかで見たことあるような・・。
 ぼくがそれをじっと見ている間に、入り口から声がした。
(ネス〜、何やってんの?トイレから戻ってこないから、心配したよ。)
 あ、ごめんピカチュウ。ちょっと、ね。
 おや?ピカチュウとさっきの生き物の顔がダブって見えた。そうか、あの子、ピカチュウに似てるんだ。
 そうだ、ピカチュウ、この子に見覚えある?
 ぼくは生き物をピカチュウの前に出した。
(あーーーーーーーーーーー!ピチュー!ピチューじゃん!)
 ピカチュウは大声で叫んだ。知り合いだったみたい。
(あ、もしかして、ピカ兄?)
 その生き物・・ピチューがしゃべった。え?兄弟?なの?
(兄弟・・というか、まあ、似たようなものかな?ぼくも昔はこんな姿だったんだ。)
 ?じゃあ、進化前ってこと?
(うん。ていうかピチュー、なんでここに?)
(んーと、きょう、なんかまつりがあるというから、みんないそがしいっていうから、ぼく、りんくとあそんでたの。 かくれんぼで。ぼく、ここでかくれてたんだけど、いつまでたってもみつけにこないから、さみしくなって・・・。)
 ん?リンク?リンクなら上にいるはずだけど・・・。
 とにかくこの子を置いてくわけにはいかないし、連れて行こうよ。
(そうだね。でも、リンクはそんな感じしないんだけど・・。)

 ぼくはトイレから戻ってくるなり、リンクを捕まえた。
「どうしたの?ネス。息切らして。」
 どうしたもないよー!この子が探してくれないって寂しがっていたよ!
「?どういうこと?」
 どういうことって、この子がリンクとかくれんぼしてたって言ってたよ。
 ぼくは言葉を切って、ピチューをリンクに見せた。
「・・俺、かくれんぼしてる覚えないんだけど・・。」
 え?でも確かにピチューはリンクとかくれんぼしてたって・・・。
(・・こんなにおおきくない。かおはにてるけど。)
 ?人違い?なのかなぁ?
(あれ?ピチューじゃない。あんた留守番してたんじゃないの?)
 プリンだ。後ろからは、ルイージさんが。
「どうしたんだい?リンク君と遊んでたんじゃないのかい?」
「ちょっと待ってくださいよ。俺、そんな覚えないですよ。」
 リンクがあわてて待ったをかける。
「ん?ああ、ごめんごめん。君の方じゃなくて、もう1人のほう。」
 ?どういうこと?リンクが2人いるの?
「まあ、そういうことになるね。ただ、もう1人のリンク君は小さいんだけどね。」
 ?ますますわかんない。どういうこと?
「あの・・もしかして、子供時代の俺がいるのですか?」
「んー、詳しいことはわかんないけど、初めて会ったときは君の小さい頃かな、と思ったよ。」
 話だけじゃわからないや。会ってみないと。向こうにいるんでしょ?
「うん。もちろん。」
「俺はなんか微妙だなぁ。」
 話が落ち着いてきたところで、いきなりプリンの叫び声が。
(た、大変!大変よ!!)

 な、なんなのさ、いったい!?
(オート運転のデータが狂って、目の前に物見やぐらが・・・!)
 な、なんだってーーーーーーーーーーーーーー!!?
「どうしてそんなことが・・・!?」
(あちこちから電流が発せられてて、たぶんピチューの発電だと思う。)
 ピカチュウ。どうしてわかるの?
(ピチューはまだ発電のコントロールができなくて、ちょっとしたことで電気がもれちゃうんだ。)
(ずっとトイレの掃除用具置き場にいたんでしょ?寂しがっていて気持ちが高ぶってたに違いないよ!)
 ・・・とにかく、今の状態がまずいのはわかった。
「みんな!運転室へ来てくれ!もしかしたら協力してもらうことになると思う!」
 ルイージさんはそういった途端、走り出した。
「俺、みんなを呼んできます!ネス、プリンはルイージさんについていって!ピカチュウはピチューを頼む!」
 リンクはみんながいる船室の方へ向かった。ぼくとプリンはあわててルイージさんのあとについていった。

 どうすればいいの?だいぶ距離がちぢんでるよ〜。
「まずはオートから手動に切り替える!」
 ルイージさんはすばやくコンピュータを動かした。慣れてる?
(昨日必死で船のトラブルについての勉強をしてたわ。)
「無駄口たたいてないで!ネス君!青いバーをおろしてくれ!」
 これ?こうでいいの?
 ぼくはいわれるままに青いバーをおろす。すると、せまかった運転室が広くなり、周りには絵本で見たような ものがでてきた。
「これで手動で動くはず!」
 その時ちょうど、他のみんなも集まった。
「おいおい、なんだよ〜!いきなりトラブルかよ!」
「ファルコン!口よりも手を動かして!!」
「んなこと言われても、何をしたらいいか・・・。」
「そこのハンドルをクッパと一緒に右に回して!兄さんとドンキーはそっちのハンドルを!」
 ファルコン、クッパさん、マリオさん、ドンキーはそれぞれのハンドルの方へ行き、動かし始めた。
「それから、リンク君、サムス、ヨッシーはファルコンたちの後ろのハンドルを、フォックス君、ピーチ姫、ゼルダ姫は兄さんたちの後ろのハンドルを!」
「ここはシークになった方がいいかもしれませんね・・・。」
 ゼルダさんはそう言って、シークに変身し、フォックス達の加勢に入った。
「それから、ネス君、ポポ君、ナナ君は前のほうをよく見ていてくれ。場合によってはみんなを手伝ってやってほしい。」
 わかった!ルイージさんはどうするの?
「武器がつんであるから、それを使って外からコントロールする!」
 待って!それだったらぼくも行く!
「ネス君?君らはゲストだよ?あんな危ないことに付き合う必要はないよ。」
 こういう場合、人手は1人でも多いほうがいいでしょ?手伝いはポポとナナだけでも充分だよ。それにさ、 なんとなくルイージさんの足が震えてる気がするからさ。
「そうだよ、ルイージさん!ぼくも行くからさ〜。」
 カービィ!カービィがいるなら心強いよ!お願い、連れてって!
「・・・・・・。わかった。ただし、無理はしないでね。」
 もっちろん!ルイージさんもね。
(あのさ〜。あたしはどうすれば?)
 あ、プリンのこと、忘れてた。
『怪我しないようにどこか安全なところにつかまっていて!!』

 外から見ると、もう本当にやぐらが近い。さっきからハンドルを回しているようだけど、あまり効果がないみたいだ。
「方向転換ができればいいんだけど・・。」
 とにかく攻撃をしまくるしかないんだろうね。
「ねえねえ、いっそのこと、そのやぐら、壊しちゃおうよ〜。」
「なっ・・・!?」
 カービィのダイナミックな提案に、ルイージさん、思わず絶句。
 ・・・ごめん。じつはぼくもカービィと同意見。もうよけるどころの問題じゃなくなってるから。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 ルイージさんはしばらく考え込む。そして。
「・・この際、仕方がないな。いいよ、壊して!」
 そういうなり、カービィはボム兵を投げつけた。
 ぼくもその勢いに乗って、モーションセンサーや、コウラを投げつけた。
 何度かやっていくうちに、やぐらはどんどん形が崩れはじめてきた。
 ところが、あと少しで壊せるところで、投げつけるものがなくなってしまった。あとちょっとで接触してしまう。どうする!?
 その時、ぼくらのわきから電気が急に横切った。やぐらにヒットする。
(大丈夫?なんか外から大きな音がしたから、駆けつけたんだけど・・・。)
 ピカチュウ!助かるよ〜!でも、ピチューは?
(プリンが来てくれて、寝かせてくれた。)
 そうか・・・ありがとう、プリン。
「大変!まだやぐらは壊れてないよ!」
 カービィがあわててぼくらのところに来た。よく見ると、ルイージさんがファイアボールで奮戦している。
「ダメだ!これじゃ、壊しきれない・・!」
 もうダメなの・・・!?このままじゃ、ぶつかる・・・。
 ぼくは無意識のまま、叫んでいた。
 P K フ ラ ー ッ シ ュ ! !
 もう、何があったのか、わからない。それだけ無我夢中だった。
 我にかえったときは、もうやぐらは影も形もなかったのだった・・・。

 やったの・・?ぼく?
「もちろん!すっごおい!ネス〜!」
(今の何?一瞬でやぐらがなくなっちゃったよ!)
 カービィとピカチュウがぼくの元にかけよってくる。ぼくとしては、なんか複雑・・・。こんな力がぼくにあったなんて・・・。
「お疲れさま!そろそろ目的地に到着するよ。」
 ルイージさん・・・ぼく・・。
「おいおい、なんだ?いきなりやぐらが消えちまって!」
「危険は回避できたの?」
「誰がこんなダイナミックなこと、したんだ?」
 口々にみんながはやし立てる。
「それよりもさ、もう到着するってさ。降りる準備、しとかなきゃ。」
 カービィ・・。
 カービィはぼくの肩をぽんってたたいて、みんなの元へ歩いていった。
 ・・・ぼくの気持ち、顔に出てたのかな・・・?
「ネス君、大丈夫?顔色悪いよ?」
 ルイージさん、大丈夫だよ。ぼくは。さ、降りよ降りよ!
「・・・・・・・。」
「シーク、どうした?」
「ああ、あの子、強いんだな、って。そう思っただけさ。」

 あーあ、いきなり大波乱だよ!これから先がどうなるか、わからないね!
(でもさ、こんな体験、滅多にできないわよv)
 ・・・プリン、もしかして、わざとそうなるようにしたんじゃ・・・。
(まさか!!アレは偶然よ!でも、こんな航海も退屈しなくていいんじゃない?)
 プリンのひとことに、メンバー一同の魂の叫び。
『冗談じゃない!もうこんな航海は御免だ!!!』
                                                 つづく。

長かったー。こんなに長くなるとは。
今回でピチュー初登場です。あと、名前だけあと1人でてましたが、肝心の彼は次回登場予定です。
アクションがかなり多かったような。ちなみに私、航海術の知識は皆無なので、ツッコミ不可とさせていただきます(笑)。
しかし、ルイージいいとこ見せすぎな気が。ちょっと勢いがつきすぎましたか。あはは。