7話:新たなる予感・対面編

 

 マリオたちが休憩所に来るころには、だいたいのメンバーがすでに来ていた。
 女性や動物たちはまだ来ていない。いるのはリンク、フォックス、ネス、ピカチュウ、カービィ、ポポ、ナナ だった。すぐそばにはマルスとこどもリンクとピチューもいた。
「ど、どうして・・・?一体何が起こったんだ・・。」
 リンクはややうろたえ気味。そわそわしてあちこちをうろうろしている。
「マルスさん・・最後にルイージさんたちといたのはいつです?」
 フォックスは冷静で、状況分析を試みている。
「ああ、打ち合わせが終わったのがだいたい3時半ころだから、そのときだ。別れたのは。」
 マルスも冷静だった。
「連絡忘れただけなのかもしれないよ?ほら、いくら几帳面な人でも、そういうこともあるでしょ?」
 ネスは楽観的だ。プラス思考ともいう。
「でも、今朝、部屋を見たら、寝た跡とかが全然ないんだ。ベッドも冷たかったし、使われた跡がない。」
「何故わかるの?」
 マルスの推測にポポが乗り出す。
「毎日お昼頃に、ここの清掃係が全部の部屋の片付けをするんだ。ベッドが乱れてたら直すし、備品もきちんと 数をそろえておく。当然ベッドのシーツはしわ一つないものに取り替えられるし、歯磨きセットや石鹸も 新しいものになっている。」
「へぇ〜。」
 どうやら納得したらしい。
「じゃあ、まさか、ベッドは・・。」
「ああ、しわ一つない、空き部屋状態だった。」
「でも、誰かの部屋で過ごした可能性は・・?」
 リンクとマルスの会話にファルコンが口をはさむ。
「それも考えたが、今朝全員の部屋に電話いれただろう?全員が驚いてたし、何も知らないようだった。 ただ、ツインルームの1つは誰も出なかったが。」
「あ、そこたぶんワガハイの部屋。」
「君は昨日どこで過ごした?」
「マリオとファルコンたちと飲み会やって、そのまま泥酔してた。」
「それは本当だ。俺が電話に出るときに爆睡してた。」
 マリオとクッパは事情を話す。
「あ、ほかのみんなもきた。」
 カービィが部屋の方を向く。
 まだ来ていないメンバーが出てきた。
「マルス・・電話での話、本当?」
 ピーチの問いにマルスはうなずく。
「お前らの部屋で泊めたということはないのか?」
『私たちはないわよ。そもそも男は泊められないわよ。』
 女性たちは口いっせいに否定する。
「僕らもないよ。」
 ドンキーとヨッシーも首を横に振る。
「僕らもだよ。大人入れるのはちょっと無理があるよ。」
 ネス達も否定。カービィとピカチュウも同調するように首を横に振る。
「私たちも。2人だけで過ごしたよね、ポポ
「当然。誰も入れないよ、ね、ナナvv
「このマセガキバカップルめ・・・。」
 ポポ、ナナは除外。
「あんたたちは?男どもは何もないの?」
「俺たちは3人きりだし、そもそも飲み会にあいつは呼べねぇよ。」
「あー、そうね。」
 ファルコンの答えにサムスは納得。
「フォックスは?あなたなら呼んだとしても不思議はないけど。」
「残念ですが、来てませんよ。」
「リンクは?あなたよく一緒にいたじゃない。」
「ん〜、呼べたら呼んでたかもしれませんが、昨日つかまらなかったので、あの後から1度も見てませんよ。」
(呼ぶんかい!!)←全員の心の中のツッコミ
 それはともかく、全員が頭を悩ませた。
(ところで、プリンのことは眼中にないよね・・・。)
 ピカチュウは忘れられているプリンのことを思った。

「おーい!マルスー!」
 どこかから叫び声が。だいぶ切羽詰っているようだ。
「ロイ!どうした?」
 声の主はロイだった。彼は何かを持っている。
「マルス、これを。誰の仕業かわからないけど、手紙に『全員集めてこれを見える位置に置け』とあって・・。」
「無視しろ!こんなあやしいブツは!」
 マリオは無視しようとするが。
「だめだ、置かないと『爆破する』とあって・・。」
「あやしいが、言うとおりにしよう。」
 ロイが持ってきたのは、大きめな、でも1人でもってこれるサイズのモニターテレビだった。
「ここに置いてくれ。」
 ロイは休憩所のテーブルの上にモニターを置いた。すると。

 プツッ

 電源が入った。いきなりのことに一同、驚く。
 そして、画面はある人物を映し出した。赤毛、色黒、そして筋骨隆々とした体格で、やたらと目つきが悪い男だった。
 その人物に、ある人物が反応した。
『ふふふ・・・どうやら言うとおりにしたようだな・・・。』
「貴様・・・、ガノンドロフ!」
 リンクが画面に向かって、食って掛かる。
『おや、リンク、それにゼルダもいるか。』
「!どうしてわかるのです!?」
「・・カメラがついている。これで自分らの様子を見ているのでしょう。」
 ゼルダが驚愕し、フォックスが冷静に答える。
『そこの狐はわかるのが早いか。まあいい。用件を言おう。』
 ガノンドロフはゆっくりと、低い声で言い出す。
『この建物とその周辺にあるゲームを用意した。それをクリアした上で、我々と戦ってもらう。』
「我々って・・・。1人しかいないじゃん。」
『おい!貴様もこっちへ来い!』
 ドンキーのセリフにガノンドロフはある人物を呼んだ。
『やれやれ・・あまり前には出たくないのだが・・。』
(あーーー!!こいつ、ミュウツーじゃん!)
 画面にしぶしぶ出てきた者を見て、ピカチュウが驚く。
 人の言葉こそしゃべるが、姿かたちは人間ではない。どんな生き物かもわからない。
 ピカチュウはミュウツーと呼んでいた。
『俺とこいつとで戦ってもらうぞ。』
「ふん、そんなこと簡単に飲むかよ!」
 マリオは強気だ。だが、ガノンドロフは余裕だ。
『嫌とは言わせんぞ。・・・これを見れば、挑まざるを得まい。』
 ガノンドロフは画面を動かした。
 次に見た画面で、一同は大いに驚愕した。

『フフフ・・・見えるか、これが。』
《ちょっとーーー!!出しなさいよーーーー!!》
「プリン!?」
 画面には、檻に閉じ込められているプリンが映っていた。
『さらに、こっちを見てしまえば、否が応でも挑まざるを得まい。』
 今度は檻の横にライトを当てた。そこにはある人物がぐったりとした状態で映っていた。
『貴様らにはわかるだろう?こいつが。』
「・・・ルイージ・・・。」
 先ほどまで、行方不明だと騒がれていたルイージがつかまっていた。
『こいつらを放してほしければ、来るんだな。』
 ガノンドロフはルイージの顔を画面に近づける。彼の顔は汚れていて、まるで落ち武者のようだった。
「・・わかった。行けばいいんだろう?」
『ああ、来るのは10人までだ。10人以内でこの建物の最上階まで来い。誰が行くかはこっちで決めろ。 いいな。』
 そういうや、画面が消えた。
「まさか、こうなるとは・・・。」
「おいおい、何だ!あの高慢な野郎は!」
 クッパが憤慨する。
「ガノンドロフ。もともとはゲルドの王だったが、ハイラルを我が物にしようとし・・・リンクと賢者たちに 封印された男だ。」
 クッパの後ろから声が。
 シークだった。通信が終わったときに変身したのだろう。
「10人以内と言っていたが、誰が行くかは決めた方がいいだろう。」
「そうだな。まずは立候補から・・。」
「俺は行くぜ。」
 真っ先に名乗りを上げたのはマリオだった。
「マリオ・・、やっぱり行くのね。」
「姫・・、弟を見捨てるわけにはいきません。」
「そうね、頼むわ。ルイージのことを。」
「じゃあ、1人目は決まりだね。」
 マリオが行く決心をしたとき、2人目も出てきた。 「俺も行きます。」
「リンク!」
「ガノンドロフがからんでくるとなると、彼のことを知っているほうがいいと思います。」
「・・そうだね。リンク。」
 リンクの意思を確かめるシーク。すると彼はこう言った。
「それなら僕も行く。知っている人物は多いほうがいいだろう。」
「シーク!?君もいくのか・・?」
「うん。君が言ったように、ガノンドロフは僕らの敵。僕らが行ったほうがいいだろう。」
「・・3人目、だね。」
(それなら僕も!)
「ピカチュウ?」
(ガノンとかがリンクたちの敵なら、ミュウツーは僕にかかわりがあると思う。なら行くよ。)
「4人目、だな。」
 次々とメンバーが決まっていく。あと6人。
「ワガハイも行こうではないか!あんな奴、なんかムカつくわ!」
「クッパ、おまえ・・?」
「言っておくが、ワガハイは別にキサマの弟のことを思っているわけではないぞ、マリオ。」
「いや、誰も聞いてないから。」
 クッパの思わぬセリフで、5人目が決定。
「団体行動なら、作戦も立てたほうがいいでしょう。俺も行きます。何かの役には立つと思います。」
 フォックスも名乗りだす。6人目。
「それだったら俺も行くぜ。なにしろ、ケンカ売られたんだからな。真正面から向かうまでだ!」
「ファルコン・・アンタ本当に直球馬鹿ね。さっきフォックスが言ったこともう忘れたの?」
「うるせぇ!手っ取り早く終わらすためだ!!」
「はいはい。」
 売り言葉に買い言葉。ファルコンとサムスはしばらく言い合いをしていたが、あまりにも長くなりそうなので、 次を待った。ファルコンで7人目。
「後は・・どうする?」
 次で悩んでしまった。まだ名乗りをあげていない人たちに聞いてみる。
「僕は深く考えるのは苦手だな〜。留守番してるよ。」と、ドンキー。
「ぼく、むずかしいことわかんない〜。」と、カービィ。
「もしもの事があるわ。足手まといになりたくないし、私も残るわ。」と、ピーチ。
 彼らは留守番をするつもりらしい。
「万が一のために、数人は残った方がいいんじゃないですか?」
「ヨッシーの言う通りよ。それに向こうも10人までだって言ってたし、10人以内でいいんじゃない?」
 サムスがヨッシーの意見に同意する。
「じゃあ、サムスさんとヨッシーはどうする?」
 マルスが2人に聞く。
「彼ら3人きりだと、もしものときに危険ね。私も残るわ。」
「僕は・・。少し考えます。・・ネス、どうしたの?さっきから。」
 ヨッシーはさっきから黙りっぱなしのネスに声をかける。
「僕・・ちょっと怖いんだ。昨日船で起きたような事があると・・・。」
 ネスの声は沈んでいた。戦いになる予感がするのだろうか。昨日、やぐらを消滅させたことを思い出したのかもしれない。
「・・僕も残ります。ネスも昨日の疲れが残っているみたいなので、休ませた方がいいんじゃないかと・・。」
「・・わかった。君たちも残るんだね。」
 マルスの問いに、ヨッシーとネスはうなずく。
「・・なら、僕も行きます。皆だけに行かせるわけにはいかないから。」
 しばし沈黙した後、マルスも行くと言い出した。
「ま、マルス、お前も行くのか!?」
 一同は目を丸くした。彼は留守をするつもりだと思っていたから。
「こうなったのも、僕が彼らから目を離したから。その責任もあります。」
「いや、プリンはともかく、ルイージは子供じゃない。マルス、お前の責任じゃないぞ。」
 大真面目に話すマルスに、マリオがツッコミとフォローを同時にする。
「そうだよ!それに責任だとするなら、僕らだって一緒に・・!」
 こどもリンクも同行しようとする。しかし、マルスとロイに止められた。
「リンク(小)、君はここに残って、皆を助けるんだ。いいね?」
「ピチューもだ。リンク(小)、ここに残るみんなを守ってくれないか?」
 こどもリンクはしばらく黙っていたが、やがて納得するようにうなずいた。
「わかったよ・・。頼むよ、ルイージさんとプリンのこと。」
「ああ。・・ロイ、君も一緒に残って、皆を守ってくれ。」
「わかった。任せてくれ。」
 こうして、出撃メンバーは決定した。
 マリオ、リンク、シーク、ピカチュウ、クッパ、フォックス、ファルコン、マルスが突撃組。
 彼ら以外が留守番組だ。
「奴は時間は特に指定してこなかった。しかし、できるだけ早めに到達したい。」
「ああ!もちろんだ!」
 そして、彼らは上の階へと歩き出した。この先の罠を知らずに。

 一方、こちらは最上階。
 薄暗い一部屋に2つの影。1つは大柄な人影。もう1つはなんと言えばいいかわからない影だった。
 ガノンドロフとミュウツーだ。
「誰が来ると思う?」
 ミュウツーがおもむろにしゃべる。
「リンクとゼルダは確実に来るだろう。俺の姿を見たからにはな。」
 ガノンドロフは笑いながら言う。
「ふむ、私としては、あの黄色いネズミが来そうな予感だ。私を知っているようだしな。」
(そりゃそうでしょ。アンタもあたしたちと同じ世界から来たんだから。)
 ミュウツーのセリフにプリンが茶々を入れる。自分の立場がわかっていないかのように。
「・・おまえ、もっと人質らしい態度はできんのか。」
(ごめんなさいねぇ!でも、あたし人じゃないしー☆)
「・・・やれやれ。」
 どうもミュウツーはプリンにはてこずっているようだ。・・話し相手として。
「まあいいではないか。それより、作戦を実行するぞ!」
「・・・・・ああ。わかった。」
 ガノンドロフとミュウツーはそう言って部屋から出ようとする。
 出ようとしたとき、ぐったりとしているルイージに目をやる。
「・・貴様の兄貴も来ると思うぞ。他にも誰か来るかもな。」
「・・・・・悪いがしばらくはそのままの状態でいてもらう。」
 2人はそう言って、部屋から出ていった。
 その途端、ぐったりと気絶しているはずのルイージが目をゆっくりと開ける。
「・・・・・兄さん・・・・・みんな・・・・・どうか・・・・・・。」
                                                 つづく。

なんか意味深なようで全然そうじゃないような気がしてなりません(汗)
さらに続くし。予定ではもっと話を進めるつもりだったのですが、予想以上に長くなってしまい、 挑戦を受けるのは次回に持ち越しになりました。
また、そのせいで話が1話分延びました(笑)
さて、また次回をお待ちくだされ!今度は隼が来ると思います。